「『無伴奏チェロ組曲』は、何度聴いても飽きない曲です」と言ったら、先生に笑われました。
「飽きるってことは、何度も聴いていない証拠だよ」

なるほどと思いました。私は好きな曲は繰り返し聴くので、飽きるということがありません。
「バッハを聴くと、いつも同じことを感じるんですけど……」

私が言うと、先生は「うん？」と首を傾げます。

「音楽には、決まった型があるような気がするんです」

たとえばピアノがポーンと鳴ったら、その音に合わせて身体を動かしたり、拍手をしたり……というように、音楽は決まった型があって、それをくり返し体験しているうちに、耳が慣れて来るのです。

「だから、初めて聴いた時と同じ感動はないかもしれないけれど、でもやっぱりいいなあと思いますね」
私がそんなふうに言ったら、「それは違うよ」と先生は言いました。
「音楽には決まりごとなんて何もなくて、どんな演奏を聴いたとしても、そこには必ず新しい発見があるんだよ」

先生の言葉を聞いてからというもの、私は今まで聴いたこともなかったCDを買い集め、さまざまな演奏家の演奏を聴いてみることにしました。すると、それまで気付かなかったたくさんのことが見えてきました。
まず驚いたのは、それぞれの演奏家によって音色が違うということです。同じ曲を演奏しているのに、どうしてこんなにも響きが異なるのか不思議でなりません。

by AIのべりすと